人間の脳下垂体の中には「血中糖濃度検出機構」という働きが備わっています。
これは、常に血糖量をチェックしています。
インシュリンの注射をして血糖値が下がれば、脳下垂体の方は、インシュリンの注射によって血糖値が下がったのか、あるいは膵臓からのインシュリンの分泌が多すぎて血糖値が下がったのかの区別が付きません。

しかし、いずれにしても血糖値が下がってきたのです。
そこで、このまま放っておけば血糖値が下がりすぎて低血糖を引き起こし、昏睡から死亡に繋がるかもしれないということで、脳下垂体はあわてて膵臓に対してインシュリンの分泌の抑制命令を出すのです。
本来人間は楽になることを望むようですが、内蔵もその主人に似て、なるべく楽をしたがります。インシュリンを余分に出しなさいという命令にはなかなか従わない膵臓も、減らせという命令は直ちに実行します。

その結果は、更なるインシュリンの不足です。
それは再び血糖値の上昇となって現れます。こうして血糖値が上がってきたことを、検査によって知った医者は、
「糖尿が少しずつ悪化したようですね、血糖値が上がっています。少しインシュリンの量を増やしましょう」ということになって、注射の量を増やします。
また同じ事の繰り返しです。

このように、インシュリンの注射は、膵臓からのインシュリンの分泌を増加させる働きをするのではなく、かえって膵臓の働きを弱めてしまう結果を招いてしまうのです。